有り余るものを丁重に扱うことによって、人徳がじわりと身に備わっていく
2023年04月17日
曹洞宗の大本山永平寺は、道元禅師が開いた
お寺です。永平寺には道元禅師の教えである
「永平半杓の水」があります。
道元禅師は、毎朝仏前にお供えする水を、寺
の付近を流れる大仏川で汲みます。そのとき
最後に杓で汲んだ水の半杓の量を、大仏川
に戻すのです。
道元禅師が、豊富な水でも、つつましやかに
半杓の水を元の流れに返して、下流の人に
送る行為は、将来の人びとに道元禅師が、
徳を積んで与えることを意味します。
この行為は、水を汲むのに限りません。
今の時期ともなりますと、山菜採りに多く
の人が山に入っていきます。根こそぎ木の芽
やワラビをむしり取っていく人もいます。
地元の人は、そんなことはしません。必ず
来年も木やワラビが生長するようにと、芽や
葉を残すのです。これも半杓の水同様に
後人を愛する願いに通じます。