夢
2012年12月14日
この書は、方広寺派管長大井際断老師の書でごらんの通り、夢です。
夢を持つことは、それが非現実的であっても、人生を楽しいものにさせてくれます。理想とか希望とかは
夢でありますが、いつかは現実かすることもあり得ることです。しかし、一般に夢とは、泡のように消え
去ってしまうような、はかない、あっけない、そして無常なものです。
古人は夢について、「夢の世に 夢見る夢は夢ならで 夢見ぬ夢を 夢とこそ知れ」と詠じています。
沢庵禅師のいう夢は、そのような深い意味内容をあらわしています。
弟子たちが、死期の迫った沢庵禅師に辞世の偈を求めますと、夢の一字に、
「是もまた夢、非もまた夢、弥勒もまた夢、観音もまた夢、仏いわく、まさにかくの如きの観をなすべし。」
を添え書きして与え、まもなく遷化しました。